業界分析レポート

沖縄県 企業売上高ランキング 完全版 2026

戦略洞察:観光復調と価格転嫁が実現した歴史的好況の構造要因

作成日:2026-07-09 | 作成者:GBase マーケティング部

エグゼクティブサマリー

沖縄県内トップ100社の合計売上高は2兆4,467億7,700万円に達し、過去最高を更新(前年比5.8%増)。100社中84社が増収を記録する歴史的な好況である。注目すべきは、沖縄経済の表象として「観光業」が語られがちだが、売上上位は小売・電力・建設・金融といった生活基盤産業が占める点である。1位サンエー(2,371億円)と2位沖縄電力(2,240億円)の2社だけでTOP100合計の約19%を押し上げ、島嶼経済特有の「寡占構造」が鮮明に現れている。本レポートは、表面のランキングデータから読み解く沖縄経済の構造的特性、成長ドライバー、そして2030年に向けた戦略的示唆を提示する。

1. 沖縄経済のマクロ概況

TOP100合計売上高
2.45兆円
過去最高
前年比
+5.8%
2年連続過去最高更新
増収企業
84社
全体の84%
減収企業
16社
エネルギー市況調整
キーファクト
  • 84%の企業が増収という数値は、地域経済全体が浮揚していることを示す極めて強いシグナル
  • 過去最高更新が2年連続で達成されたのは、コロナ明け観光需要の爆発的回復に加え、構造的な価格転嫁が定着したため
  • 減収16社は主に石油市況の下落に連動するエネルギー系企業であり、構造問題というより一時的な市況調整の影響

2. 売上高ランキング TOP20

順位 企業名 売上高 決算期 業種 所在地
1 サンエー 2,371億5,600万円 2025/2 連結 総合小売・SC運営 宜野湾市
2 沖縄電力 2,240億4,300万円 2025/3 連結 電力・ガス 浦添市
3 リウボウグループ 1,138億6,900万円 2025/2 グループ 小売・流通 那覇市
4 りゅうせき 1,103億4,200万円 2025/3 連結 エネルギー 浦添市
5 金秀グループ 1,064億円 2025/3 グループ 建設・多角経営 那覇市
6 イオン琉球 1,008億7,900万円 2025/3 総合スーパー 南風原町
7 國場組グループ 929億4,200万円 2024/6 グループ 総合建設業 那覇市
8 沖縄セルラー電話 843億円 2025/3 連結 通信 那覇市
9 沖縄ファミリーマート 825億円 2025/2 コンビニ 那覇市
10 琉球銀行 691億9,300万円※ 2025/3 連結 銀行・金融 那覇市
11 おきなわフィナンシャルグループ 587億5,600万円※ 2025/3 連結 金融グループ 那覇市
12 日本トランスオーシャン航空(JTA) 507億円 2025/3 航空輸送 那覇市
13 沖縄出光 443億円 2025/3 石油・エネルギー 浦添市
14 ピータイム 399億円 2024/4 連結 アミューズメント 那覇市
15 野嵩商会(フレッシュプラザ ユニオン) 378億1,300万円 2025/3 スーパーマーケット 宜野湾市
16 ホクガングループ 306億円 2024/3 連結 食品製造・卸売 糸満市
17 オリオンビール 288億6,600万円 2025/3 連結 飲料・ビール製造 豊見城市
18 琉球海運 280億円 2025/3 海運・物流 那覇市
19 全保連 256億5,800万円 2025/3 家賃保証 那覇市
20 沖縄食糧 207億6,600万円 2025/3 食品加工(米) 浦添市

※ 銀行は「経常収益」ベース(一般企業の売上高に相当)

売上高シェア構造(TOP5)

サンエー
2,371億円
沖縄電力
2,240億円
リウボウG
1,138億円
りゅうせき
1,103億円
金秀G
1,064億円
イオン琉球
1,008億円
支配構造の特徴
  • TOP2(サンエー+沖縄電力)だけで約4,612億円 = TOP100合計の18.9%
  • TOP5で約7,918億円 = 同32.4%
  • 上位は「流通寡占+インフラ独占+地域グループ」の3層構造

3. 業種別構成(TOP20)

TOP20
小売・流通 5社(25%)
エネルギー 3社(15%)
金融・保証 3社(15%)
食品・飲料 3社(15%)
建設 2社(10%)
航空・物流 2社(10%)
通信 1社(5%)
アミューズメント 1社(5%)
注目ポイント
  • 小売が最大カテゴリ(25%)だが、エネルギー(15%)と合わせると生活インフラ関連で40%に達する
  • 「観光=沖縄経済」のイメージに対し、TOP20に純粋な観光・ホテル企業は直接ランクインしていない(ホテルはリウボウ・金秀などの多角経営グループ内に組み込み)
  • IT・ソフトウェア企業がTOP20に不在 —— デジタル産業の育成が課題

4. 深層ドライバー:なぜ過去最高を連続更新できるのか

① 観光復調が流通・食品・ホテルに連鎖

2024年の沖縄県内観光客入域数は過去最高水準。この波が単一業種にとどまらず、次のように連鎖している:

観光客増加
宿泊・外食の売上拡大(リウボウ、金秀ホテル部門)
食品・飲料調達拡大(ホクガン、オリオンビール、沖縄食糧)
小売への波及(サンエー、イオン琉球、沖縄ファミマ)
物流需要増(琉球海運)

この「観光 → 流通 → 物流」の波及エフェクトが、島嶼という閉鎖的な経済圏ではより強く現れる。

② 建設ブームの多重起因

建設需要拡大は単なる好景気ではなく、複数の構造的要因で支えられている:

要因 内容 影響期間
防災インフラ整備 台風被害教訓+気候変動対応 長期
観光施設開発 リゾートホテル・商業施設の新設 中期
那覇港・空港周辺開発 物流拠点整備 中長期
米軍基地返還跡地開発 嘉手納以北等の土地利用 超長期

これが國場組(7位)・金秀(5位)・東江建設(増収率+111.9%)を直接押し上げる。

③ 価格転嫁の定着

コロナ後の原材料費・人件費高騰を受け、沖縄県内でも「価格転嫁」がようやく定着しつつある。日本の地方経済において長年「価格転嫁不可」が収益圧迫要因だったのが、構造的に改善されている。

代表例
  • サンエー:食料品部門が価格転嫁で前期比8.0%増(1,326億円)
  • イオン琉球:「トップバリュ」価格据え置きと値上げの使い分けで過去最高更新

④ 沖縄電力の特殊要因

沖縄電力(2位)の増収には、LNG燃料価格の高止まりと再エネ投資拡大が寄与。2024年3月に牧港ガスエンジン発電所(LNG・6基)が営業運転開始し、水素混焼30vol%を達成。GX・再エネ投資が今後も売上押し上げ要因となる。

5. 地域別企業分布:那覇一極集中

沖縄県は面積1,288km²、人口約138万人。その中で那覇市(面積39km²、人口約32万人)に県人口の23%が集中。周辺(浦添・宜野湾・南風原・糸満)を含む那覇都市圏では人口の約7割が集中。この人口密度が、小売チェーン・金融・通信・サービスの事業所集中を必然化している。

那覇市
10社
リウボウ、金秀G、國場組、沖縄セルラー、沖縄ファミマ、琉球銀行、おきなわFG、JTA、ピータイム、全保連
浦添市
4社
沖縄電力、りゅうせき、沖縄出光、沖縄食糧
宜野湾市
2社
サンエー、野嵩商会
南風原町
1社
イオン琉球
糸満市
1社
ホクガングループ
豊見城市
1社
オリオンビール

6. 注目企業プロファイル

成長企業:東江建設・アイムホーム

増収率1位
+111.9%
東江建設
増収率2位(売上ベース)
+63.9%
アイムホーム(141億円)

全国展開の異端児:全保連

19位・全保連(家賃保証・256億5,800万円)は、沖縄発企業でありながら全国市場でユニークな地位を確立。沖縄の地場企業が全国展開を成功させた稀有なケースであり、2015年東証マザーズ上場。家賃保証というニッチ市場を開拓し、日本全国の不動産業界に不可欠なインフラ企業となった。

本土資本地域法人の「第2の地場企業」化

イオン琉球(6位)、沖縄ファミリーマート(9位)、沖縄セルラー電話(8位)はいずれも本土資本の地域法人。しかし、それぞれ沖縄市場に深く根差し、「単なる子会社」ではなく実質的に「第2の地場企業」として機能している。

本土資本の地域最適化
  • イオン琉球:PB「トップバリュ」の価格据え置き戦略など、本土親会社の方針を沖縄消費者向けに最適化
  • 沖縄ファミマ:ぜんざい等の独自商品開発で、沖縄食文化に根差した商品展開
  • 沖縄セルラー:KDDIグループでありながら、沖縄のDX・観光業ソリューションで独自の存在感

7. 戦略的示唆

進出を検討する企業:投資優先度

優先度 A(高)
観光関連
高付加価値型ホテル、体験型観光。客数回復から客単価向上フェーズへの移行が狙い目
優先度 A(高)
建設・インフラ
防災インフラ、再エネ、米軍返還跡地開発。長期的な需要裏付けあり
優先度 A(高)
小売(沖縄特化型)
沖縄独自の消費文化に合致した商品開発。多角化グループ傘下が優位
優先度 C(低)
IT・ソフトウェア
現時点では市場規模が小さい。ただし5年後に備えた先行投資としては検討余地あり

求職者・転職者向け:「選ぶべき企業」3つの基準

基準 該当企業 理由
成長性 イオン琉球、東江建設、アイムホーム 過去最高更新・高増収率
安定性 沖縄電力、琉球銀行、沖縄セルラー インフラ独占・寡占
多角化グループ 金秀、國場組、リウボウ 業績分散リスク低減

注目の「全国展開銘柄」:全保連 —— 沖縄発で全国市場を制覇した異端児。

スタートアップ・新規事業:沖縄で狙いすべき空白地帯

分野 理由 ビジネス例
観光テック 観光依存が高いがDX未発達 多言語AI、予約プラットフォーム
建設テック 建設ブームが続くが生産性向上余地大 建設BIM、建設現場DX
再エネ・GX 沖縄電力が水素・太陽光拡大方針 メガソーラー、VPP、沖縄発の島嶼型GXモデル
食品・農業 亜熱帯気候を活かした特産品 サトウキビ付加価値化、トロピカルフルーツ
金融・家賃保証周辺 全保連が開拓した市場の周辺 保証制度周辺、不動産テック

8. 構造的リスク:「2030年問題」

IT産業の規模不足
TOP20にIT企業なし。沖縄IT津梁パーク等の取り組みはあるが、売上規模でまだランキング圏外。対策時期:2026〜2028年
人口動態制約
若年層は多いが労働力不足進行。観光・建設・小売の全分野で人手不足リスク。対策時期:即時
観光の高付加価値化
客数は回復したが客単価向上余地。インバウンド需要を取り込む体験設計が鍵。対策時期:2025〜2027年
本土資本依存
上位6社に3社が本土資本地域法人。親会社の戦略転換リスクを内包。対策時期:中長期
気候変動リスク
台風・海面上昇がインフラ懸念。長期的には防災投資需要増にも転化。対策時期:長期

推奨される地域戦略

  • 「観光×IT」特区 —— 観光客データを活用したAI体験提供
  • 「島嶼型GXモデル」 —— 沖縄電力の水素・再エネ技術をアジア島嶼国へ輸出
  • 「地場企業全国展開支援」 —— 全保連モデルの横展開

9. まとめ:沖縄経済の本質

沖縄県トップ100社の合計売上高過去最高(2兆4,467億円・+5.8%)は、単なる好景気の数字ではない。次の3つの構造変化が同時進行している:

  • 価格転嫁の定着 —— 長年の構造的収益圧迫が解除されつつある
  • 観光波及エフェクトの最大化 —— 単一業種から全産業への波及が島嶼経済で増幅
  • インフラ投資の連鎖 —— 建設ブームが電力・物流・小売まで押し上げ

一方で、TOP20にIT企業が不在、那覇一極集中、本土資本依存といった構造課題も抱える。2030年に向けて沖縄経済が「次の過去最高」を更新できるかは、「観光×IT」「GX」「地場企業の全国展開」の3つの賽をどう振るかにかかっている。

出典・参考文献

出典 URL
沖縄県名門企業・有名企業一覧(coki.jp) https://coki.jp/article/column/57693/
沖縄企業100社ランキング(琉球新報) https://ryukyushimpo.jp/news/economics/entry-4205905.html
2025年沖縄企業100社売上高ランキング(沖縄タイムス) https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/1830729
2024県内企業売上高ランキング(QAB NEWS) https://www.qab.co.jp/news/20250507249491.html
沖縄電力が2年連続1位(宮古新報) https://miyakoshinpo.com/2025/05/05/
東京商工リサーチ 沖縄支店 調査データ提供元

本資料は公開情報をもとにGBaseが調査・集計したものです。最新の財務数値は各社の公式IRをご確認ください。

よくある質問

沖縄県で最も売上高が高い企業は?
サンエー(株式会社サンエー)で、2025年2月期連結の売上高は2,371億5,600万円です。沖縄県最大の総合小売業として、スーパーマーケット・GMS・ショッピングセンターを中心に80店舗以上を展開しています。
沖縄県のトップ100社の合計売上高はいくらですか?
沖縄県内トップ100社の合計売上高は2兆4,467億7,700万円で、過去最高を記録しました。前年比5.8%増、100社中84社が増収という歴史的な好況です。
沖縄経済の主要産業は何ですか?
観光業のイメージが強い沖縄ですが、売上上位は小売・電力・建設・金融といった生活基盤産業が占めています。TOP20の業種別では小売・流通が5社(25%)、エネルギーが3社(15%)、金融・保証が3社(15%)、食品・飲料が3社(15%)となっています。
沖縄経済が過去最高を更新できている理由は?
主に4つの要因が同時に発現しています。①観光復調が流通・食品・ホテルに連鎖、②防災インフラ整備や観光施設開発による建設ブーム、③原材料費高騰に伴う価格転嫁の定着、④沖縄電力のGX・再エネ投資拡大です。
沖縄県で全国展開している地場企業はありますか?
全保連(家賃保証・売上256億5,800万円)が代表的です。沖縄発企業でありながら全国市場でユニークな地位を確立し、2015年に東証マザーズ上場。家賃保証というニッチ市場を開拓し、全国の不動産業界に不可欠なインフラ企業となっています。

このレポートについて

本レポートは、GBase マーケティング部が公開情報(東京商工リサーチ・琉球新報・沖縄タイムス・coki.jp等)をもとに、McKinsey 3層分析フレームワーク(表面データ → 深層ドライバー → 戦略的示唆)を用いて作成した沖縄県企業ランキングの戦略洞察レポートです。対象期間は2024年1〜12月期決算(2025年度含む)。最新の財務数値は各社の公式IRをご確認ください。

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