日本非上場企業売上高ランキング 2026
「非上場 = 中小企業」の誤解を解く
📊 エグゼクティブサマリー
- 日本には約370万社の企業が存在し、そのうち99%以上が非上場企業
- 売上6〜7兆円のJA全農、2.8兆円のサントリー等、上場企業に匹敵する巨大規模の非上場企業が多数存在
- 2023〜2025年に「非上場化トレンド」が加速 – JSR、大正製薬HD、ベネッセHD等、意図的にIPOを離れる企業が増加
1. 市場構造
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 日本の企業数(全体) | 約370万社 |
| 上場企業数 | 約3,900社 |
| 非上場企業の割合 | 99%以上 |
| 売上1兆円超の非上場企業 | 少なくとも5社以上 |
2. 売上高TOP30ランキング
| 順位 | 企業名 | 業種 | 売上高(概算) | 従業員数 | 設立年 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1 | JA全農 全国農業協同組合連合会 |
農業・食品 | 約6〜7兆円 | 約3,500人(本部) | 1972年 |
| 2 | サントリーHD | 飲料・食品 | 約2.7〜2.8兆円 | 約40,000人(連結) | 1899年 |
| 3 | 生協系連合体 | 小売・生活協同組合 | 約3兆円超(全体) | — | — |
| 4 | 竹中工務店 | 総合建設 | 約1.7〜2兆円 | 約9,000人 | 1610年 |
| 5 | ロッテHD | 菓子・流通・ホテル | 約1兆円超 | 約5,000人(日本) | 1948年 |
| 7 | YKKグループ | ファスナー・建材 | 約8,000〜9,000億円 | 約46,000人(世界) | 1934年 |
| 9 | 日本経済新聞社 | メディア・情報 | 約4,000〜5,000億円 | 約3,400人 | 1876年 |
| 12 | JCB | クレジットカード・金融 | 約2,000〜3,000億円 | 約3,400人 | 1961年 |
| 13 | 森ビル | 不動産・都市開発 | 約2,000億円超 | 約1,600人 | 1959年 |
| 16 | ヤンマーHD | 農業機械・エンジン | 約5,000億円 | 約20,000人 | 1912年 |
| 20 | 国分グループ本社 | 食品卸売 | 約1.9兆円 | 約9,000人 | 1712年 |
| 24 | 星野リゾート | ホテル・観光 | 約600〜700億円 | 約10,000人 | 1904年 |
| 29 | 大正製薬HD | 製薬・OTC | 約2,600億円 | 約6,600人 | 1928年 |
| 30 | JSR | 半導体材料・合成ゴム | 約3,600億円 | 約10,000人 | 1957年 |
※ 29位・大正製薬HD、30位・JSRは2024年・2023年に上場廃止・非上場化
3. 業界別分析
🌾 農業・食品・農協系
| 企業名 | 売上高 | 特徴 |
|---|---|---|
| JA全農 | 約6〜7兆円 | 農産物の集荷・販売・購買事業。組合員農家への資材提供も |
| JA共済連 | 約5,000〜6,000億円 | 農協系保険(共済)の全国連合会 |
| 農林中央金庫 | 資産規模約100兆円超 | 農協・漁協・森林組合の中央金融機関 |
🍶 飲料・食品
| 企業名 | 売上高 | 特徴 |
|---|---|---|
| サントリーHD | 約2.7〜2.8兆円 | 山崎・白州ウイスキー、BOSS缶コーヒー。創業家が100%保有 |
| ロッテHD | 約1兆円超 | ガーナチョコ、コアラのマーチ。韓国ロッテと兄弟会社 |
| 国分グループ本社 | 約1.9兆円 | 食品・酒類の最大手卸売。1712年創業の老舗 |
🏗 建設・不動産
| 企業名 | 売上高 | 特徴 |
|---|---|---|
| 竹中工務店 | 約1.7〜2兆円 | 大手ゼネコン5社で唯一の非上場。1610年創業。東京タワー施工 |
| 森ビル | 約2,000億円超 | アークヒルズ、六本木ヒルズ等を保有・運営。同族経営 |
🏭 製造業
| 企業名 | 売上高 | 特徴 |
|---|---|---|
| YKK | 約8,000〜9,000億円 | 世界ファスナーシェア約45%。「サービスとしての企業」理念 |
| ヤンマー | 約5,000億円 | 小型ディーゼルエンジン世界最大手 |
💳 金融・決済
| 企業名 | 売上高 | 特徴 |
|---|---|---|
| JCB | 約2,000〜3,000億円 | 日本唯一の国際クレジットカードブランド。190以上の国で利用可能 |
📰 メディア・出版
| 企業名 | 売上高 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本経済新聞社 | 約4,000〜5,000億円 | 日経新聞・日経電子版・FT保有 |
| 朝日新聞社 | 約3,500〜4,000億円 | 朝日新聞デジタル推進中。天声人語で有名 |
| 読売新聞グループ本社 | 約3,500億円 | 世界最大発行部数(Guinness記録)。巨人軍保有 |
4. 注目企業プロフィール
🥇 サントリーホールディングス
設立:1899年(鳥井商店として)
本社:大阪市北区
創業家:鳥井・佐治家(100%株式保有)
主要ブランド:BOSS、伊右衛門、山崎・白州ウイスキー、翠ジン、金麦、BEAM Suntory
非上場理由:「長期的視点での経営判断」「創業家の経営哲学維持」
🥈 竹中工務店
設立:1610年(慶長15年)
本社:大阪市中央区
株主:竹中家・役員・従業員持株
主な施工実績:東京タワー(1958年)、大阪万博会場(1970年)、あべのハルカス(2014年)
非上場理由:創業400年の歴史と職人文化を守るため
🥉 YKK
設立:1934年
本社:富山県黒部市
創業者:吉田忠雄(1908〜1993)
事業内容:ファスナー部門(世界シェア約45%)、建材部門(YKK AP)
グローバル展開:世界71の国と地域、生産・販売拠点約110カ所、従業員約46,000人
有名哲学:「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」
💳 JCB(ジェーシービー)
設立:1961年
本社:東京都港区
主要株主:三菱UFJフィナンシャル・グループ、住友系等
事業内容:クレジットカードネットワーク運営。加盟店約4,000万店舗(世界190以上の国・地域)
競合ポジション:日本唯一の国際クレジットカードブランド。VISA、Mastercardと競合
5. 非上場維持の理由
| 理由カテゴリ | 具体的理由 | 代表企業 |
|---|---|---|
| 創業家・同族経営 | 外部株主への支配権移転を回避。長期的経営方針維持 | サントリー、竹中工務店、YKK、星野リゾート |
| 協同組合・非営利組織 | 法的に株式会社でない。利益分配より組合員利益優先 | JA全農、JA共済連、生協、信金中央金庫 |
| メディアの独立性 | 株主からの編集権干渉を防ぐ | 朝日新聞、読売新聞、日経、中日新聞 |
| 長期投資の優先 | 四半期業績より長期的な研究開発・設備投資を優先 | YKK、ヤンマー |
| MBO・非上場化 | 上場コスト削減、短期業績圧力からの解放 | 大正製薬HD、JSR(産業政策目的) |
6. 最近の非上場化トレンド(2023〜2025年)
🔄 上場廃止・非上場化トレンド
| 企業名 | 時期 | 背景 |
|---|---|---|
| JSR Corporation | 2023年 | 産業革新投資機構(JIC)によるTOB。半導体材料を国策として戦略化 |
| 大正製薬HD | 2024年 | MBO。上場廃止で経営の自由度向上を目指す |
| ベネッセHD | 2024年 | EQTによるTOBで非上場化 |
💡 新しい「非上場化」の動機
JSRのケースは、産業政策として重要な半導体材料事業を株主圧力から解放して国策として推進するため。
大正製薬HDのケースは、短期業績圧力から解放され、長期的な創薬投資を可能にするため。
これらは「非上場 = 投資難」ではなく、「非上場 = 戦略的選択」の新たなトレンドを示している。
7. 戦略的示唆
投資家向け
非上場企業へのアクセスは制限されるが、ベンチャーキャピタルやプライベートエクイティを通じた投資機会が存在。「非上場 = 投資できない」ではなく、間接投資手段の探索が必要。
事業会社向け
M&A相手としての非上場企業:創業家との信頼関係構築が鍵。短期的なシナジー提示よりも、長期ビジョンの共有が重要。
起業家・オーナー経営者向け
「IPO = 成功」ではない。サントリー、YKK、星野リゾートは、非上場のまま世界級企業を築いた。上場コスト(IR、法令遵守)とベネフィット(資金調達、ブランド)を冷静に評価すべき。
📊 今後5年のトレンド予測
- 非上場化の増加(可能性:高) – 短期主義からの脱却を望む中堅企業が続く可能性
- 非上場向けファイナンス手法の多様化(可能性:高) – プライベートクレジット等の市場拡大
- 非上場×上場の連携強化(可能性:中) – 資本提携や業務提携の柔軟な形態の増加
よくある質問
Q:日本の非上場企業は全体の何割を占めていますか?
A:日本には約370万社の企業が存在し、そのうち99%以上が非上場企業です。上場企業は約3,900社に過ぎません。
Q:最大手の非上場企業はどの企業ですか?
A:売上高規模で最大はJA全農(全国農業協同組合連合会)で、約6〜7兆円の売上高を誇ります。続いてサントリーホールディングス(約2.7〜2.8兆円)、竹中工務店(約1.7〜2兆円)が続きます。
Q:なぜ企業は非上場を維持するのですか?
A:主な理由は4つあります。(1)創業家・同族経営による支配権維持と長期主義経営の実現、(2)協同組合としての法的特質、(3)メディアの独立維持、(4)近年の非上場化トレンドとしての短期主義からの脱却です。
Q:近年非上場化した企業にはどのような企業がありますか?
A:2023年にはJSR Corporationが産業革新投資機構(JIC)によりTOBで非上場化。2024年には大正製薬ホールディングスがMBOで、ベネッセHDがEQTによるTOBで非上場化しました。
Q:非上場企業のデータはどのように取得できますか?
A:主なデータソースとして、東洋経済『会社四季報 未上場会社版』、帝国データバンク、東京商工リサーチ等の有料データベースがあります。また、国税庁の法人番号公表サイトで基本情報を無料で確認できます。
参考文献・データソース
- 東洋経済『会社四季報 未上場会社版』
- 帝国データバンク企業情報データベース
- 東京商工リサーチ(TSR)企業データ
- 国税庁 法人番号公表サイト
- 各社公開情報・IR資料(公開されている場合)
免責事項:本資料の売上高データは公開情報・業界推計に基づくものであり、正式な財務諸表ではありません。非上場企業の財務情報は法的開示義務が限定的なため、数値は概算・推計値です。最新・正確なデータは各社IR(存在する場合)または有料データベースをご参照ください。